原価法は対象不動産の再調達原価から減価修正を行って査定額を求める方法。
原価法を利用した不動産査定方法を解説していきます。
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再調達原価とは
再調達原価とは、対象不動産を査定時点で再調達することを想定した時に必要とされる原価の総額。
査定したい不動産をもう一度建築するのに必要な費用の合計です。
土地の再調達原価は取得原価、造成費用が該当します。
建物の再調達原価に含まれる費用は以下の項目になります。
- 直接工事費(使用素材の種別、等級及び数量、必要な労働時間)
- 間接工事費(施工会社の利益、仮設設備)
- 一般管理費(管理で必要になった費用)
減価修正とは
減価修正は査定時点の適正な不動産価格を求めるために、再調達原価より控除します。
物理的要因
不動産を使用することによって生じる摩耗及び破損、または自然的作用する老朽化などがあげられます。
例)壁紙の変色、外壁の劣化
機能的破損
不動産の機能的陳腐化、設計の不良、型式の旧式化、設備の不足及びその能率の低下があげられます。
例)旧式の給湯器の設置
経済的要因
経済的要因としては、不動産の経済的不適応があげられます。近隣地域の衰退や、不動産の過剰供給があげられます。
例)地域の衰退、商業施設の撤退
減価修正の方法
減価修正の方法には2つ。原則以下の2つ方法を併用します。
耐用年数に基づく方法
耐用年数に基づく方法は、対象不動産の査定時における経過年数を元に減価額を把握する方法です。
計算方法の説明
下記のように査定額を計算します。
構造 | 鉄骨 |
築年数 | 30年 |
耐用年数 | 47年 |
再調達価格 | 4,000万円 |
47年(耐用年数)−30年(築年数)=17年(残存耐用年数)
17年(残存耐用年数)/47年(耐用年数)=0.36170(減価率)
再調達価格4,000万円×0.36170(減価率)≒1,446万円(査定額)
観察減価法に基づく方法
設計・設備等の機能性、維持管理の状態、補修の状況、付近の環境との適合の状態等、減価修正の要因を実態調査することによって減価額を求める方法です。
おわりに
いかがでしたか?
不動産の知識がない人にとっては原価法を利用した不動産査定は難しいですよね。
しかし、査定金額の「なぜ?」を知るためにはこうした方法を理解することが必須。
不動産の知識を備えて自身の不動産取引に活かしましょう。